こんにちは。
今回のコラムは神戸・六甲山の麓にある竹中大工道具館の左官についてです。
「竹中大工道具館」は新幹線新神戸駅の間近にあり、建物は地上1階、地下2階として存在感を抑え、
そこは都市の中にありながら、まるで森に包まれたオアシスのような場所。
大工道具には日本人ならではの美意識や心遣いが秘められていて、
昔から大事にしてきたものづくりの心を受け継ぎ、民族遺産として収集・保存し、
さらに研究・展示を通して後世に伝えていくことを目的に設立されたそうです。
こちらの写真はその建物の中でB1階からB2階の中庭を貫く風化した版築壁をイメージした大壁
壁をめぐるように動線が計画されており、常に視界に入るのは左官職人の久住章氏・久住有生氏実施監修による土壁削出し大壁です。
西宮神社の版築壁の土壁削りだし仕上げ等を視察し、古土の量、藁の量、削りだし形状等に吟味を重ね
「古くて新しい」土壁を目指され、 自己主張の強い建築ではなく、人と自然を柔らかにつなぐ媒体としての建築を目指した
建物そのものにあった匠の技の数々を肌で感じられる場となっていました。
そして以前より伊田工務店ともお付き合いがある久住さんと久住さんのお弟子さんに鎌倉磨きのオブジェを作成していただいたことがあり、 その左官サンプルを拝見した時は、どうすれば塗りでこの様な仕上げが出来るのか想像がつきませんんでしたが、
一般社団法人 日本左官業組合連合会のHPにあるショート動画で垣間見ることができました。
https://www.nissaren.or.jp/12996
竹中大工道具館の【火灯窓付き蛍壁】 蛍壁という名の通り、蛍のお尻が光っているように錆が浮き出すために、単純に錆の出る鉄くずを入れるのではなく、丸くほわっと錆が出る特別な鉄の削り屑だそうです。
プロの職人さんの洗練された技と知識には、情熱と共に鍛錬された多くの時間によって、
いつも驚きの感動を私達に与えてくださってるのだと思いました。
担当:設計