家づくりを考え始めた時、
お洒落・性能・価格など、たくさんの情報に触れると思います。
けれど実際に暮らし始めてから大切になるのは、
理由はうまく言葉にできないけれど、なぜか落ち着く…そんな感覚ではないでしょうか。
淡路島にある禅坊を訪れ、その答えの一端を体感しました。
この施設を設計したのは建築家の坂 茂さん。

森の上に伸びる長い木造のデッキ。
一見すると、とてもシンプルで構造が目立たないつくりです。
しかし実際は、大きな梁をなくすために、小さな梁をトラスとして成立させるなど、
空間を邪魔しないための工夫が丁寧に積み重ねられています。
建築が主張しすぎないことで、人の視線は自然と森へ、風へ、光へと向かっていきます。

ヨガの時間に気づいたこと
普段、私たちは木々を見上げて暮らしています。
けれど禅坊では、木々の稜線を超えず森と同じ高さ、
あるいは少し上から緑を見下ろす体験が待っていました。
ヨガで静かに座ると、鳥の囀り、風が葉を揺らす音、
足元から伝わる木の感触が、自然と意識に入り込んでき、
建築の存在感はいつの間にか消え、森の中に身を置いているという感覚だけが残りました。
坂氏は「空中で座禅を組むとはどんな空間か」という問いからこの建築を考えたそうです。
建築の威圧感がなくなったとき、
初めて空中に浮かぶような非日常を体験できるのだと身体で理解しました。
住まいづくりにも通じること
私たちは神戸で、注文住宅のお手伝いをしています。
・視線を遮らないための工夫
・構造を主張させない設え
・人の行為を縛らない余白
性能や数字の先にあるどう感じるかという視点。
それを大切にすることが、住まいの心地よさにつながるのだと感じさせられました。
私たちは、住まい手の感覚にそっと寄り添う住まいづくりを大切にしています。
言葉にしがたいなんだか心地いいを、設計と施工で形にしていけたらと思っています。
担当:設計